この事例の依頼主
男性
相談前の状況
ご家族が亡くなった後、相続人の1人がご相談者に対し、生前使用していた通帳の記載に疑問を呈し、使途が分からないから被相続人のために使用したことが明らかとならない限り、数百万円もの金額を返金せよとの要求をしてきたため、その対応に苦慮しているものでした。相手が親族であるため、無下にはできないため、穏便に解決したいとのことで、ご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
ご事情を伺うと、生前託されたりご家族のために介護、病院代などに使用したこと、使用した分のレシートなどを詳細に記録、保存しており、使途がわからない、ということがないことが判明しました。そこで、使途を詳細に説明し、適宜レシートなどを開示して、まずは使途不明であるとの主張を退けることに成功しました。次に、遺言書がないとのことでしたので、相続人間で遺産分割協議を行い、当方の求める範囲の財産額及び財産の種類とも、他の相続人に理解してもらい、その内容で遺産分割協議が成立し、実際に財産を受け取ることができました。
生前の通帳から、亡くなる数年前から直前にかけて、限度額(例えば50万円)いっぱいの払戻しが何度も繰り返されるなど、多額の払い戻しがされるケースがあります。今回の案件は都度使用しするほか万一に備え少し多めに引き出していましたが、使途を詳らかに記録していたため、過不足がなく詳細に使途を主張立証することができました。その結果、遺産分割協議も、他の相続人の説得に時間を要することもありましたが、順調に当方の意見を尊重する内容で進めることができました。それぞれの相続人が遠方であったことから、遺産分割調停になってしまうと、遠方に出張する相続人があるためできるだけ調停をせず協議で解決したかったのですが、ご相談者の資料が十分であったため、他の相続人の説得もしっかりとすることができました。家族の問題となりますと、つい記録をとらずに口頭だけで進めたり、口約束にとどまってしまいがちですが、お金の流れだけでもはっきりさせて、レシートを取っておく、通帳の記帳部分にメモをしておく、ネットバンクの入出金欄にコメントを残しておくだけでも、いざとなったときに助けになりえますので、今後のご相談においても、説得的にアドバイスできる経験となりました。