この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
相談者は、お店の新店舗を構えた経営者から店長として雇われました。しかし、店の経営方針などを巡って、経営者とぶつかることが多かったようです。そのときも店の経営のことで経営者と口論になったのですが、いつもより激しい口論となりました。そして、激した経営者から「もう君は平社員にするぞ」と言われたため、相談者も我慢できずに、自分から辞めてやると宣言して、その店を辞めたそうです。さて、相談者は、最終の勤務月の給与については、きちんと支払われるだろうと思っていたところ、経営者から手紙が送られてきて、そこには「経営者への反抗的態度に対する罰金」等と称してほぼ全額を払わない(天引きする)旨の記載がされていました。
解決への流れ
労働審判を申し立て、未払い給与は全額払っていただきました。
労働賃金には「全額払いの原則」というルールがあり,一方的な天引は原則違法となります。懲戒としての減給にも、法律上の規制があり、就業規則や労働契約にきちんと根拠があって問題の行為がそれに該当することを前提として、その上で、減給額は賃金月額の10%までと決められています。従って、本事例のような一方的なやり方は、許されません。因みに、本件で相談者の「店長」という肩書の法律的な位置づけは非常に微妙でしたが,それでもやはり,平社員への一方的降格は,それによって基本給減額を伴うものである以上,違法となり得ます。このケースで経営者がやっていたことは、滅茶苦茶でした。労働審判を起こし,経営者側が未払い賃金の全て払うことで妥結(和解)となりました。元々請求額も小さく、相談者さんも早期の解決を希望されていました。これは法テラスを利用しましたが、迅速に妥結できて良かったと思っています。