この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
相談者は、夫と結婚して10年になりますが、社交的な相談者と異なり夫は家にいることを好み、共通する趣味もないため、次第に旅行や外食等にも一緒に行かなくなってしまい、この2~3年は日常会話も必要最低限のものになっていました。ご夫婦には子どもはおらず、相談者はこのままこの夫とずっと一緒にいなければいけないのかと思い悩み、離婚をして人生をやり直したいと考えるようになり、相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
ご相談の内容をお聞きすると、裁判で離婚が認められるような「浮気」「暴力」「暴言」などの事情は認められませんでしたが、相談者は離婚をしたいとの希望を強くお持ちであったので、まずは別居をして、調停の中で離婚の協議をするようにしてはどうかとアドバイスしました。その後、実際に相談者は別居をし、私が代理人となって調停手続を進めたのですが、初めのうちは夫は離婚は絶対にしないとこちらの要求に応じようとしませんでした。しかし、調停が3~4回進むと、相談者と夫の共通の知人からの情報として、「夫に交際している女性ができたようだ」と聞かされました(ただし、証拠はありません)。その話を聞き、次回の調停で風向きが変わるかも知れないと予想したところ、夫は急に「離婚をしてもいい。ただし財産は一部しか渡さない。」と言い出しました。相談者としては、財産の問題よりも夫との離婚が最優先事項でしたので、夫の気が変わらないうちに手続を進めた方がよいと考え、離婚以外の条件は夫の申し出を受け入れる形をとり、無事に調停での離婚が成立しました。
性格の不一致は、裁判では離婚原因になりません。そのため「性格の不一致では離婚できない」と早合点して離婚をあきらめてしまう方もいらっしゃいますが、裁判は離婚のための最後の手段であり、裁判では離婚ができなくても、話し合いや調停で相手が了解をすれば性格の不一致であっても離婚をすることはできます。実際に、初めは離婚を拒絶されても、話し合いや調停の中で強く離婚を求め続ければ最終的に相手が離婚を了解するケースがしばしば見られます。相手が離婚を了解する理由は、長期間の話し合いに嫌気がさした場合、このままやり直しても以前のような生活はできないと途中で気づく場合、ほかに交際している人ができた場合など様々です。今回のケースは、夫に交際相手ができたため離婚に応じてきたのですが、相談者から離婚を求めて別居をしなければそのような状況の変化も起きなかったと考えられ、相談者が勇気を持って別居を決意したことにより離婚できたものと言えます。