この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
15年以上勤めた会社から解雇を通知され、労働組合に相談したものの解決に至らなかったため、私の所にご相談にいらっしゃいました。依頼者は弁護士費用保険に加入されており、その保険を利用してのご相談でした。
解決への流れ
依頼者は、業務上の指揮命令に従わなかったとして繰り返し注意を受けていた上、他の従業員とトラブルになったとして何度も異動させられていました。それぞれの注意の内容自体は重大なものとはいえませんでしたが、繰り返し注意を受けてきた履歴が残っており、決して印象が良いとはいえませんでした。そこで、労働審判では、会社が最も重大な解雇理由だと主張した事実に絞って重点的に反論することで、繰り返し注意を受けてきた事実が焦点となるのを避けるようにしました。当初は、労働審判員1名が会社の主張に理解を示していましたが、会社の主張に具体的な根拠がないことをこちらが説得的に論じた結果、労働審判委員会は解雇が無効であるとの心証を抱くに至り、解決金を給与1年分(額面、賞与を含む)相当額とする調停案を引き出すことができました。
労働審判は原則として3回の期日で終了する短期決戦であり、その間に労働審判委員会に解雇が無効であるという心証を抱かせる必要があります。本件は、繰り返し注意を受けてきた事実を重視すると、こちらに不利な裁定も十分に考えられるところでしたが、会社が最も重大な解雇理由として主張した事実に適切に反論したことで、解雇無効の結論を導くことができた事案でした。