犯罪・刑事事件の解決事例

【マンション管理組合の理事長による横領に対する対応方法】

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中村 浩士 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人シティ総合法律事務所
所在地北海道 札幌市中央区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

マンションの区分所有者数名から、組合の元理事長が組合のお金を横領しており、会計帳簿を確認した結果、使途不明金は500万円にも上ることが判明した。元理事長を訴えたいが、どうしたら良いかとの相談を受けました。

解決への流れ

組合として、元理事長に対して損害賠償請求することも可能であるが、その前に、元理事長に対してプレッシャーを掛けるため、刑事告訴が可能であれば告訴をしておこうということになり、会計帳簿や領収書・伝票類から使途不明金とされている内容を正確に抽出した結果、私的に利用しているとしか思われない家電製品や嗜好品の購入に一部充てられていたことが判明した。使途先が特定できた限度で、業務上横領での告訴も受理してもらえる可能性があったので、その旨説明しながら元理事長と交渉した結果、弁済に応じるとの話になり、分割弁済での和解書を作成して、回収をスタートさせることができた。

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中村 浩士 弁護士からのコメント

マンション管理組合の理事長や理事による横領について相談を受けることが多いです。業務上横領罪で刑事事件にするためには、「私的に流用した」という要件を証明する必要があり、使途先を明らかにする必要があります。ところで、この事案では、元理事長でしたので、解任は問題になりませんでしたが、現職の理事長だった場合に、理事長を解任することができるのでしょうか?区分所有法によれば、集会の決議によって理事長を解任することができます。規約により変更されていなければ、過半数の多数決で可決し解任できます。ただ、やっかいなのは、解任を決議するための集会の招集権は、区分所有法では理事長にあるとされている点です。これでは、理事長が集会を招集しないことが考えられます。そこで、区分所有法では、理事長が集会を開かない場合には区分所有者の5分の1以上で、議決権の5分の1以上の賛成があれば集会の招集が請求できるとされています。これにより、理事長が集会を招集しない場合に対応できます。では、集会を招集したものの、過半数の賛成が得られず解任決議が否決されてしまった場合にはどうすればよいでしょうか?区分所有法では、理事長に不正な行為などで職務を行うに適していない事情があるときは各区分所有者が解任を裁判所に請求することができると規定されています。そこで、本ケースのように、理事長が新しいマンション管理会社から金銭をもらっているのであれば、理事長に不正な行為があるとして、裁判所に解任を請求することになるでしょう。理事長に解任に値するような問題がある場合、実際に裁判所への解任請求まで行うケースは少ないのが実情ですが、理事長のワンマンを許さないためには、このような制度があることを知っておくことは重要でしょう。