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MBSが謝罪 バラエティー密着放送で「仕込み発覚」、「なんとしてもテレビに出たい」ルール無用の業者が仕掛けるヤラセの実態
毎日放送(MBS・大阪市)が9月4日、バラエティー番組『ゼニガメ』(7月17日放送)で事実と異なる内容があったと発表し、謝罪した。毎日放送の調査結果によれば、不用品買取業者に密着取材したVTRについて、取材先の買取業者から仕込まれた"完全にウソ"の内容を事実と信じて放送したということだ。
こうした番組を作ったことのある筆者は正直なところ「見抜けない」と感じた。しかし、これを許しては、テレビの放送内容の信頼が下がってしまう。今後の再発防止のために求められることを指摘したい。(テレビプロデューサー・鎮目博道)
「語学の非常勤講師」は研究者か? 大学教員の「無期転換」、翻弄される有期労働者たち
契約期間が決まっている有期雇用でも、勤続年数が5年を超えると定年まで働けるようになる。「無期転換」という仕組みで「5年ルール」などとも呼ばれる。
ただし、例外もある。たとえば、大学の教員。有期雇用の教員については、「5年ルール」が適用されるのか、別の「10年ルール」が適用されるのか、その基準がはっきりしていないという。
このほど東京地裁で2つの判決があったので、現在地を紹介したい。
長時間労働で脳こうそく、証拠は「部下の日誌」 自動車販売の店長が勝訴
長時間労働や残業代が出ない「ブラック企業」と戦うには、証拠を残しておくことが大事ーー。こうした認識は広まりつつあるが、逆に「証拠がないから難しい」と泣き寝入りしていないだろうか。
タイムカードもパソコンのログもない中、部下の日誌や証言などを元に、長時間労働と発症した脳こうそくとの因果関係があると判断し、損害賠償が認められた事件がある(福岡地裁2018年11月30日判決)。原告は自動車販売会社に勤める男性店長で、脳こうそくの末、右半身麻痺などの障害が残った。
原告の男性の日誌は、会社側から「ない」と言われ、結局入手することができなかった。だが、部下が残していた日誌が、長時間労働を認定する決め手となった。被告側は判決を不服として控訴している。
この事件の原告側代理人を務めた波多野進弁護士は「特に過労死や過労自殺事件などの労働事件では、手元に証拠がないのは止むを得ないこと。証拠の多くは会社側にあるのが当たり前なので、そこで諦める必要はない」と話す。事件の経緯を聞いた。
企業間のポイント交換は「不課税」、国敗訴で確定…弁護士に聞く判決のポイント
企業が発行したポイントを利用者が別のポイントに交換する際、企業間で発生する資金の移動が消費税の課税対象となる「対価」に当たるのか——。近畿地方などで導入されている交通系ICカード「PiTaPa(ピタパ)」の運営事業者と課税する国との間で争われた裁判の判決がこのほど確定した。
原告会社のポイントは、航空会社のマイルなど、提携法人の別のポイントから交換できる仕組みになっており、利用者から交換を申請されると、同社のポイントが利用者に付与される。その際、提携法人が10ポイント当たり1円の資金を原告会社に支払う仕組みとなっている。
時事通信(10月17日)によると、原告側は「ポイント還元のための実費であり、経済的利益ではない」として、課税対象には当たらないと主張。これに対し、国側は「ポイント付与という役務の提供を条件とする対価」と反論していた。
一審・大阪地裁は原告の訴えを退けていたが、二審・大阪高裁は、資金の移動について「無償取引に該当し、課税対象とならない」と判断。原告の訴えを認め、国側に逆転敗訴を言い渡した。
国側は上告を断念し、判決が10月14日付で確定。2011~2015年度のポイント交換の際に掛けられた消費税は原告会社に還付されるという。
ポイントの交換は各種サービスで実施されている。今回の判決が確定したことで、今後のポイント制度や国の税務にどのような影響を与えるだろうか。森中剛弁護士に聞いた。
「事故を起こす不安があった」残業181時間で精神疾患、ツアーバス運転手に労災認定「ツアー会社の安値発注も問題」
埼玉労働局春日部労働基準監督署は11月9日、「夢湖観光バス」(埼玉県久喜市)の観光バス運転手(44)が長時間労働が原因で精神疾患を発症したとして、労災認定した。男性は11月22日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見を行い、「バス運転手の過重労働は、乗客のみなさんの命の安全を脅かすことに繋がりかねない」と訴えた。
村上春樹っぽい「けいおん!」がネットで話題――「文体」に著作権はあるのか?
もしも村上春樹さんが人気漫画「けいおん!」を小説にしたら、こんな作品になるかもしれない——。そんな風に思わせる文章が11月、ネットの匿名掲示板に投稿され、話題になった。
「けいおん!」は、軽音楽部に所属する女子高生たちのゆるい日常を描いたマンガ。アニメや映画にもなり、根強い人気を保っている。そんな「けいおん!」を全く方向性が異なる村上春樹風に書いてみた、というギャップが受け、ネットでも「レベル高い!」といった好意的な評価が相次いだ。
こんな試みがなされるのは、村上春樹さんの文体がそれだけ特徴的だということだ。今回投稿された文章については、「(村上春樹さんの)文体そのまんま」という声もあった。
ただ、文章を読んだ人が、その内容ではなく「文体」によって、村上春樹さんっぽいなと感じるのだとすれば、そうした「文体」そのものが著作権法で保護されるのではないか。著作権の問題にくわしい雪丸真吾弁護士に聞いた。
コインハイブ逆転有罪、IT業界への影響は? 識者から「デジタルけしからん罪」の声も
自身のウェブサイト上に他人のパソコンのCPUを使って仮想通貨をマイニングする「Coinhive(コインハイブ)」を保管したなどとして、不正指令電磁的記録保管の罪(通称ウイルス罪)に問われたウェブデザイナーの男性に2月7日、逆転有罪の判決が言い渡された。
弁護人の平野敬弁護士は、判決を不服として最高裁に上告する方針を示した。
偽物のブランド品を買ったら「返金」してもらえるか?
偽物のブランド品を店に陳列していたとして、大阪市のブティック経営者が2013年1月20日、商標法違反の疑いで逮捕された。新聞報道によると、ブティック経営者は高級ブランド「ボッテガ・ヴェネタ」の偽物の財布を販売目的で所持していたとされる。
大阪府警は、家宅捜索で「エルメス」や「ロレックス」などのブランド名が入った商品約400点を押収。いずれも偽物とみて、捜査を進めているという。ブティック経営者は「2年くらい前から偽物を売っていた」と供述しているとのことで、偽ブランドを購入した客が多数いるとみられる。
そのなかには偽ブランド品と知らないで商品を買った人もいるかもしれない。そのような購買者は、ブティック経営者に対して代金の返還を求めることができるのだろうか。西田広一弁護士に話を聞いた。
●「偽物」を買ったからといって、必ず返金してもらえるわけではない
「このようなケースで代金返還を求める方法としては、まずブティック経営者の『詐欺』を理由にして、商品の購入契約を取り消して、代金を取り戻す方法があります(民法96条、703条)」
では、「詐欺」といえるためには、どんな条件が必要なのだろうか。
「詐欺が成立するためには、(1)経営者が偽物を本物と偽っていたことと、(2)購入者が本物と信じて購入の意思表示をしたことが必要です。ところが、このような店の経営者は、(1)を否定して『もともと偽物と言って売っていた』などと主張することが多いでしょう。刑事事件の取り調べで認めていない場合は、広告や発言の録音などから立証するほかありません」
さらに、「(2)の点についても、かなり安い金額の場合は問題となるでしょう」と西田弁護士は指摘する。また、消費者を守るための消費者契約法を根拠に、購入契約の取り消しを主張することも考えられるというが、「消費者契約法4条1項1号の『重要事項の不実告知』の場合も、経営者が真実でないことを認識している必要がないこと以外は、ほぼ同様の問題があります」
もう一つの手段として、「購入者が本物と信じて購入した場合、『錯誤』による契約の無効を主張する方法もあります(民法95条、703条)」という。「しかし、金額がかなり低いとか、怪しい店であったとかの事情があると、重過失ありとしてこの主張ができなくなります」
また、現実的な問題として、「経営者が逮捕されたような場合、実際の返金をしてもらえるか難しい可能性があります」と西田弁護士は説明する。結局のところ、「ブランド品を購入される方は、信用できる店で購入されるのが適切でしょう」ということだ。
今回の事件の場合、商品を買った客がどのように考えていたのかはわからないが、偽物を買ったからといって必ず返金してもらえるわけではない、という点には注意が必要だろう。
国民も野党もメディアも「とりまユナイト」で――安保反対の高校生が「団結」呼びかけ
安保関連法制に反対する高校生グループ「T-nsSOWL(ティーンズソウル)」が1月21日、東京・永田町の参議院議員会館で記者会見を開き、今夏の参議院選挙に向けて、国民と野党・政治家とマスメディアが団結するよう呼びかけた。キャッチフレーズは「とりまユナイト(とりあえず、まあ、団結)」だ。
ティーンズソウルは昨年7月、安保法制の廃案や安倍政権の退陣を求めて、東京都内の高校生のメンバーを中心に結成されたグループ。国会前などでおこなわれた安保法制反対デモに参加して、「とりま廃案(とりあえず、まあ、廃案)」などと訴えて、メディアの注目を集めた。メンバーは全国に60人ほどいるという。
芸能人につきまとう「スターストーカー」が逮捕――何を書いたら「やりすぎ」なのか?
タレントの眞鍋かをりさんの公式ブログのコメント欄に10月中旬、「殺す」などと書き込んだとして、青森県に住む30代の男性が脅迫罪の容疑で逮捕された。SNSなどで芸能人につきまとう「スターストーカー」が起こした事件として注目を集めた。
「スターストーカー」は、ツイッターやフェイスブックなどを使っているスターに対して、執拗にメッセージを送り続けるケースもあるようだ。アイドルグループHKT48の指原莉乃さんは、11月13日「なんかずっと指原にツイートしてくるヤバめの人が。。アンチとかではなく。。」とツイートしている。
スターのSNSアカウントには、応援や声援だけでなく、批判の声も数多く寄せられている。「有名税」という言葉もあるが、スターだからといって、どんな発言も堪え忍ぶことができるわけではないだろう。スターに対する発言は、どこまでやったら「やりすぎ」だといえるのだろうか。元検事で、インターネット上の法律問題にもくわしい落合洋司弁護士に聞いた。